海老咲あお

義父が余命宣告を受けたと連絡があり、私たち夫婦は夫の実家へ帰ることになった。 義父は昔からギャンブルや女遊びに明け暮れる身勝手な人で夫とは絶縁状態。 私たちの顔を見るなり、高額な医療費の保証人になって欲しいと涙ながらに懇願してきた。 憔悴している義父を見かねた私は渋る夫を説得し保証人のサインをさせてしまった。 まさかそれが義父が細工した契約書とは知らずに…。 夫は知らぬ間に借金の保証人にされてしまい、戸惑う私に義父は 「お前の夫に借金を背負せたくなかったら俺の世話をしろ」と脅してきて…。

私は誰よりも道徳心が強い。 調査員という仕事に誇りを持っているし、不倫をしている人間は罰せられるべきだと思ってる。 今回の依頼者の男性はあまりに不憫だった。 あんなに奥さんを大事にしている人がこんな不義理な仕打ちを受けるなんて… 私は同情してしまった。 だからホテルの一室で浮気調査をしている時に言い寄られ…同情心から受け入れてしまった。 誰よりもいけない事だとわかっているのに…私は不倫の味を知ってしまった。